事例がないとホームページは作れないのか。
ホームページを作ろうとすると、
「実績がないから、まだホームページを作れません」
という話を聞くことがあります。
たしかに、これは少し分かります。
ホームページに載せる実績がない。
お客様の声もない。
事例もない。
写真も少ない。
そうなると、
「何を載せればいいんだろう」
と思ってしまいます。
でも、ここで一度考えてみたいことがあります。
本当に、
「事例がない = ホームページを作れない」
のでしょうか。
僕は、そうは思いません。
むしろ、事例が少ない時期だからこそ、
「自分は何ができて、何をしてきて、これから何をしていくのか」
を整理しておくことには意味があります。
ホームページは、
「実績がたくさんある人だけが作るもの」
ではありません。
これから実績を積み上げていく人にとっても、
自分の仕事を説明するための土台になります。
そもそも「事例」とは何なのか
まず、
「事例」
という言葉を少し分けて考えてみます。
ホームページでいう事例には、
・お客様から依頼された仕事
・自社で行ったプロジェクト
・商品開発
・イベント運営
・Webサイト制作
・EC運営
・SNS運用
・業務改善
・企画の実施
など、いろいろなものがあります。
つまり、
「お客様から依頼された仕事だけが事例」
ではありません。
ここを狭く考えすぎると、
「まだ実績がない」
という状態になってしまいます。
「できること」と「実際にやったこと」は違う
たとえば、
「Webサイトを作れます」
というのは、
「できること」です。
一方、
「実際にWordPressでサイトを立ち上げ、情報設計、ページ制作、公開、更新まで行った」
というのは、
「実際にやったこと」です。
この二つは似ていますが、信頼の材料としては違います。
ホームページでは、
「できます」
だけで終わらせず、
「実際にこういうことをしました」
まで見せられると強くなります。
そして、
「実際にやったこと」
には、クライアントワークだけでなく、自分のプロジェクトも含まれます。
自分でやったことは、立派な経験になる
たとえば、自分で小さなECショップを立ち上げたとします。
商品を登録する。
写真を撮る。
商品説明を書く。
決済を設定する。
発送方法を決める。
SNSから誘導する。
注文を確認する。
問い合わせに対応する。
これだけのことを実際にやれば、
「ECの仕組みを知っています」
という一文よりも、ずっと具体的です。
さらに、
「どこで困ったのか」
「どう改善したのか」
「何を変えたら運用しやすくなったのか」
まで書ければ、一つの事例になります。
売上が何百万円になったとか、
何万人に見られたとか、
そういう大きな数字がなくても構いません。
実際に動かした経験そのものが、情報になります。
「自社プロジェクト」は、実績として出していい
ここは特に大切です。
自社プロジェクトを、
「仕事じゃないから実績にはならない」
と考える必要はありません。
もちろん、
「大手企業から依頼された実績」
と、
「自分たちで立ち上げたプロジェクト」
は同じではありません。
だから、同じものとして見せてはいけません。
でも、
「自社プロジェクト」
と明記すればいい。
たとえば、
PROJECT TYPE
自社プロジェクト
と書いたうえで、
・企画
・ブランド設計
・Web
・商品
・EC
・SNS
・イベント
・運営
など、実際に担当したことを説明する。
これなら誇張にはなりません。
むしろ、
「自分たちでここまで動かせるんだ」
という別の信頼につながります。
「実績」と「事例」は少し違う
実績という言葉は、
「○○社制作」
「○○件達成」
「○○賞受賞」
のような、結果や肩書きを連想しやすい言葉です。
一方、
事例は、
「こういう状況で」
「こう考えて」
「こう動いて」
「こうなった」
というプロセスを見ることができます。
だから、
実績が少なくても、
事例は作れます。
たとえば、
「ECショップを開設した」
だけでも、
なぜ開設したのか。
どんな商品を扱ったのか。
どんな情報が必要だったのか。
どういう導線にしたのか。
運営して何が分かったのか。
まで整理すれば、
一つのケーススタディになります。
ケーススタディは「自慢話」ではない
事例ページというと、
「こんなにすごいことをしました」
とアピールするページだと思われることがあります。
でも、本来のケーススタディは、
「どんなことを考えて、どう進めたのか」
を見せるページです。
たとえば、
BEFORE
情報がいくつかの場所に分散していた。
ISSUE
初めて見る人が、どこを見ればいいか分かりにくかった。
APPROACH
情報を整理し、公式情報を確認できるページを作った。
WORK
Webサイトの構成整理。
ページ制作。
SNSとの導線整理。
AFTER
必要な情報を一つの場所から確認できるようになった。
こういう内容でも、十分に事例になります。
数字がなくても、
「何を変えたのか」
が分かります。
結果は「数字」だけではない
事例を作るとき、
「成果の数字がないから書けない」
という問題もあります。
もちろん、
売上が○%増えた。
問い合わせが○件増えた。
アクセスが○倍になった。
という数字があれば分かりやすい。
でも、すべての仕事でそうした数字が取れるわけではありません。
たとえば、
・更新しやすくなった
・情報を探しやすくなった
・問い合わせ内容が整理された
・スタッフが運用できるようになった
・イベント情報をまとめられるようになった
・商品の説明が統一された
・SNSから公式情報へ誘導できるようになった
こうした変化も結果です。
大切なのは、
「何がどう変わったのか」
を具体的に書くことです。
逆に、数字を作ってはいけない
これは当たり前のようで、かなり重要です。
実績が少ないと、
「数字がないと弱く見える」
と考えてしまいます。
そこで、
「○%改善しました」
「○倍になりました」
など、根拠のない数字を載せる。
これは絶対に避けたほうがいい。
実績が少ないことより、
実績を大きく見せようとしていることのほうが、信頼を失います。
分からないものは、
「公開できる数値なし」
でもいい。
あるいは、
「現在も運用中」
と書いてもいい。
事例で大切なのは、
大きく見せることではありません。
事実を分かりやすく見せることです。
「お客様の声」がなくても始められる
同じことは、
「お客様の声」
にも言えます。
まだ十分なクライアント数がないなら、
無理に掲載する必要はありません。
まして、
それらしいコメントを作るのは避けるべきです。
本当に誰かからもらった感想があるなら掲載する。
ないなら、
「まだ掲載できる事例はありません」
という状態でも構いません。
その代わり、
自分たちのプロジェクト。
実際の制作物。
活動記録。
仕事の進め方。
を見せる。
信頼は、
「お客様の声」という一つの部品だけで作るものではありません。
「活動記録」も事例を育てる
ここで、
NEWSやACTIVITIESが重要になってきます。
たとえば、
2026年9月○日
○○イベントに出店しました。
これだけでは短い活動記録です。
でも、
「なぜ出店したのか」
「何を用意したのか」
「どんな反応があったのか」
「次に何を改善するのか」
まで残しておけば、
後から一つの事例になります。
つまり、
活動記録を積み上げることで、
事例の材料が増えていく。
最初から立派なCASE STUDYを作ろうとしなくても、
日々の活動を記録しておけばいいのです。
「実績ページ」と「活動ページ」を分ける意味
ここもホームページ設計では重要です。
CLIENT WORKS
実際に依頼を受けた仕事。
PROJECTS
自分たちが動かしているプロジェクト。
ACTIVITIES
日々の活動やイベント。
NEWS
最新のお知らせ。
これを分けておくと、
「これは何の実績なのか」
が分かりやすくなります。
たとえば、
「Destiny Island WORLD」
が自社プロジェクトなら、
CLIENT WORKSには入れない。
PROJECTSに掲載する。
イベントへの出店は、
ACTIVITIESに記録する。
そして、そのプロジェクト全体を詳しく紹介したいなら、
CASE STUDYとしてまとめる。
こうした整理ができると、
実績を無理に膨らませる必要がなくなります。
事例が一件もないなら、それでもホームページは作れる
では、本当にまだ何もやっていない場合はどうでしょう。
それでもホームページは作れます。
ただし、
「実績豊富です」
とは書かない。
代わりに、
・何を提供するのか
・誰を対象にするのか
・どういう考え方で仕事をするのか
・どんな経験があるのか
・どんな相談ができるのか
・これから何をしていくのか
を整理する。
そして、最初の仕事ができたら、
それを記録する。
二件目ができたら、また記録する。
三件目になったら、比較できるようになる。
最初から「実績ページを完成させる」のではなく、
実績が積み上がる仕組みを作る。
この考え方のほうが現実的です。
最初の事例は、小さくていい
事例というと、
「大きなプロジェクトじゃないと掲載できない」
と思ってしまうことがあります。
でも、
・ホームページの一部を改善した
・商品ページを整理した
・SNSプロフィールを作った
・ECに商品を登録した
・イベント告知ページを作った
・お問い合わせ導線を改善した
これらも、
「何をどう改善したか」
が説明できれば、事例になります。
もちろん、
「大規模プロジェクト」
とは言いません。
小さな仕事は小さな仕事として出す。
この正確さが大切です。
事例の数より、具体性
事例を10件並べても、
「Web制作しました」
「EC制作しました」
「SNSを運用しました」
だけなら、あまり伝わりません。
逆に、
3件しかなくても、
「なぜやったのか」
「何が課題だったのか」
「何をしたのか」
「どこを担当したのか」
「どう変わったのか」
が分かれば、かなり理解できます。
だから、
事例の数を増やすことより、
一つの事例を具体的にすること。
これは、小さな事業者ほど意識したいポイントです。
事例ページは「依頼する人」のためだけではない
実は、事例ページを見るのは、
「今すぐ依頼したい人」
だけではありません。
「こういうこともできるんだ」
と知る人もいます。
「自分のケースに近い」
と思う人もいます。
「この会社はこういう考え方なんだ」
と理解する人もいます。
つまり事例は、
営業資料であると同時に、
サービスの説明でもあります。
自分が何をしているのかを、
具体的なケースを通して説明できるからです。
事例を書くと、自分のサービスも整理される
もう一つ大きなメリットがあります。
事例を書こうとすると、
「自分は何をしているんだろう」
ということが見えてきます。
たとえば、
Webサイトを作ったと思っていたけれど、
実際には、
・情報整理
・導線設計
・文章整理
・更新方法の設計
・SNSとの接続
までやっていた。
そうなると、
「自分の仕事はWeb制作だけではないのかもしれない」
と気づくことがあります。
これはサービス設計にも影響します。
実績を整理することは、
自分のサービスを整理することでもあるのです。
STUDIO DiWでは「自分たちで動かしている」ことも事例になる
STUDIO DiWの場合、
自分たちでプロジェクトを動かしています。
ブランドを考える。
商品をつくる。
Webをつくる。
ECを運営する。
SNSで発信する。
イベントに出る。
実際のお客様と接する。
こうした経験があるからこそ、
「Webだけを見るのではなく、その先まで考える」
という考え方があります。
これは、
「Web制作会社だからWebができます」
という話とは少し違います。
実際に商品を販売したり、
イベントに出たり、
ECを運営したりするから、
「作った後に何が起きるか」
も考えられる。
自社プロジェクトは、
単なるポートフォリオではありません。
自分たちの考え方を実際に試す場でもあります。
事例は「信頼を証明する材料」の一つ
ここまでの話をまとめると、
ホームページの信頼は、
実績数だけで決まりません。
プロフィール。
実際のプロジェクト。
事例。
活動記録。
制作物。
サービス内容。
料金。
FAQ。
問い合わせ方法。
こうした情報が、
「この人たちは実際に何をしているのか」
という一点につながっていることが重要です。
事例は、その中の一つです。
だから、
「事例がないからホームページを作れない」
と考える必要はありません。
事例がなくても、
まず現在地を整理する。
そして、
これから行う仕事を記録する。
その記録が、
少しずつ事例になっていきます。
ホームページは、実績が完成してから作るものではない
これは、かなり大切な考え方だと思っています。
ホームページを、
「実績ができた人が見せる場所」
と考えると、
実績がない間は何もできません。
でも、
「今の自分を正しく説明し、これからの活動を記録していく場所」
と考えれば、
今日から使えます。
最初は、
PROFILE
SERVICE
CONTACT
だけでもいい。
仕事が一つできたら、
PROJECTSやCASE STUDYを追加する。
活動が増えたら、
ACTIVITIESを追加する。
お客様の声が集まったら、
VOICEを追加する。
必要になったら、
CLIENT WORKSを充実させる。
こうやって成長させていけばいい。
最初から完成させなくていい
ホームページを作るとき、
「最初から完璧なサイトを作らなければ」
と思う必要はありません。
むしろ、
「今の事業に必要な情報を、正確に揃える」
ことから始めたほうがいい。
そして、
仕事をする。
活動する。
記録する。
改善する。
また仕事をする。
その繰り返しの中で、
ホームページの中身も増えていく。
これは、
「未完成のまま公開する」
という話ではありません。
「今必要な範囲をきちんと完成させ、あとから成長できる構造にする」
という話です。
最後に
事例が少ない。
実績が少ない。
お客様の声が少ない。
だから、
「まだホームページは早い」
と思ってしまう。
でも、本当に考えたいのは、
「実績が何件あるか」
だけではありません。
今、何ができるのか。
何を経験してきたのか。
何を実際に動かしているのか。
これから何をしていくのか。
それを、
正確に伝えられる状態になっているか。
ここです。
実績を増やすことは大切です。
でも、
実績が増えるまで何も見せない必要はありません。
小さな仕事も、
自分たちのプロジェクトも、
イベントも、
制作物も、
活動記録も、
全部、積み重ねていけます。
そして、
「何をしたか」
を記録していけば、
それはいつか、
「どういう仕事ができる人なのか」
を伝える材料になります。
ホームページは、
実績が完成した人のための展示場ではありません。
これから実績を積み上げていく人にとっても、
「自分たちは何をしているのか」
を整理し、
「実際に何をしてきたのか」
を残し、
「これから何をしていくのか」
を伝える場所です。
だから、
事例がないからホームページを作れない。
ではなく、
「今ある事実から、何を伝えられるか」
を考えてみる。
そのほうが、ずっと現実的です。
そして、事例は後から増やせます。
大切なのは、
最初から立派な実績を見せることではなく、
実際にやったことを、一つずつ残していくこと。
その積み重ねが、
一番無理のない「実績づくり」になるのだと思います。
