Webサイトをリニューアルするとき、デザインより先に見直したいこと。
「そろそろホームページをリニューアルしたい」
仕事をしていると、そんな相談を受けることがあります。
今のデザインが古く感じる。
スマートフォンで見づらい。
情報が増えすぎて、どこに何があるかわからない。
会社やお店の内容が変わったのに、ホームページだけ昔のままになっている。
競合を見ると、自分たちのサイトが少し見劣りする。
理由はいろいろあります。
そして、リニューアルそのものは決して悪いことではありません。
ただ、ひとつ気をつけたいことがあります。
それは、
「リニューアル=新しいデザインにすること」
ではない、ということです。
むしろ、リニューアルするときに最初に考えたいのは、デザインではありません。
「今のホームページは、何のために存在しているのか」
ということです。
古くなったから、全部変える?
ホームページのリニューアルというと、
・デザインを新しくする
・写真を入れ替える
・ロゴを大きくする
・ページを増やす
・スマートフォン対応する
・最新の機能を入れる
といった話になりがちです。
もちろん、これらも必要になることがあります。
でも、ここで一度立ち止まってみます。
「なぜ、それが必要なのか?」
です。
たとえば、
「ホームページが古いから新しくしたい」
という場合。
その「古い」は、何が古いのでしょうか。
見た目でしょうか。
情報でしょうか。
使い勝手でしょうか。
会社そのものが変わったのでしょうか。
お客さんが知りたい情報が見つからないことでしょうか。
スマートフォンから問い合わせしづらいことでしょうか。
検索しても必要な情報が出てこないことでしょうか。
実は、これらは全部違う問題です。
だから、解決方法も違います。
デザインだけを新しくしても、情報が整理されていなければ、使いにくさは残ります。
写真を全部入れ替えても、何をしている会社なのかわからなければ、伝わりません。
ページを増やしても、必要な情報にたどり着けなければ、見る人は迷います。
つまり、
「何を変えるか」
より先に、
「何が問題なのか」
を整理する必要があります。
リニューアルは「壊して作り直すこと」ではない
ここは、Webサイトをリニューアルするときに意外と大事なところです。
今あるホームページを、
「古いから全部ダメ」
と考えないことです。
実際には、今のサイトの中にも使えるものがたくさんあります。
長年掲載してきた会社情報。
検索から見つけてもらえているページ。
お客さんからよく読まれている記事。
問い合わせにつながっているページ。
実績や事例。
商品の説明。
よくある質問。
写真。
スタッフ紹介。
アクセス情報。
こうした情報を全部捨ててしまう必要はありません。
むしろ、
「残すもの」
「直すもの」
「なくすもの」
「新しくするもの」
に分けて考える。
これがリニューアルの最初の仕事です。
新しいサイトを作ることより、
「今あるものをどう評価するか」
のほうが重要な場合もあります。
まず「今のホームページで困っていること」を書き出す
リニューアルを考えたら、最初にやってほしいことがあります。
それは、現在のホームページに対する不満を、できるだけ具体的に書き出すことです。
たとえば、
「なんとなく古い」
ではなく、
「スマートフォンでメニューが見つけにくい」
「料金ページがどこにあるかわからない」
「サービス内容が昔のまま」
「問い合わせ先がページによって違う」
「新しい商品が掲載されていない」
「スタッフ紹介が古い」
「営業時間が変わっている」
「SNSでは新しい情報を出しているのに、ホームページには反映されていない」
などです。
このレベルまで具体化すると、何を直すべきかが見えてきます。
そして、ここで重要なのは、
「見た目の問題」と「情報の問題」を分けることです。
見た目の問題
・古い印象がある
・文字が小さい
・スマートフォンで見づらい
・写真の見せ方が古い
・デザインに統一感がない
情報の問題
・サービス内容が古い
・料金がわからない
・誰向けなのかわからない
・問い合わせ方法がわかりにくい
・必要な情報が見つからない
・情報が重複している
運用の問題
・誰も更新していない
・更新方法がわからない
・更新する情報が決まっていない
・SNSとホームページの役割が整理されていない
この3つは似ていますが、解決方法が違います。
「デザインを変えれば解決する」とは限らない
たとえば、ホームページを見て、
「なんとなくわかりにくい」
と感じたとします。
そこでデザイナーに、
「もっと見やすくしてください」
と依頼する。
これは間違いではありません。
ただ、もう一段深く考えてみます。
「何がわかりにくいのか?」
です。
会社が何をしているのかわからないのか。
商品が何なのかわからないのか。
料金がわからないのか。
申し込み方法がわからないのか。
自分に関係するサービスなのかわからないのか。
そもそも、必要なページにたどり着けないのか。
問題が違えば、デザインの解決方法も変わります。
場合によっては、デザインより文章を直したほうがいいこともあります。
ページ構成を変えたほうがいいこともあります。
メニューを整理したほうがいいこともあります。
不要なページを削除したほうがいいこともあります。
つまり、
「見やすいデザイン」
は目的ではなく、
「必要な情報を必要な人に、必要な順番で届ける」
ための手段です。
リニューアル前に「今の事業」を見直す
もうひとつ重要なのが、ホームページではなく、その中身です。
数年前に作ったホームページなら、事業そのものが変わっている可能性があります。
サービスが増えた。
逆に、やめたサービスがある。
ターゲットが変わった。
料金が変わった。
店舗が移転した。
スタッフが変わった。
商品が増えた。
ECを始めた。
SNSを使うようになった。
LINE公式アカウントを始めた。
イベントを開催するようになった。
こうした変化があるのに、ホームページだけが昔のままだと、情報のズレが起こります。
だからリニューアルするときは、
「ホームページをどうするか」
だけではなく、
「今、この事業は何をしているのか」
から確認します。
これはWeb制作というより、情報整理に近い作業です。
「昔のホームページ」を見ると、事業の変化がわかる
実は、古いホームページは悪いものではありません。
そこには、その事業がどう変わってきたかが残っています。
以前は主力だったサービス。
今では提供していない商品。
昔のスタッフ構成。
以前の店舗情報。
過去のイベント。
過去のお知らせ。
それらを見ることで、
「この事業は、ここからこう変わってきたんだな」
ということがわかります。
だから、リニューアルでは単純に古い情報を削除するのではなく、
「今につながるものは何か」
を見ることも大切です。
過去を全部消して、新しく見せる必要はありません。
今の事業につながっている歴史は、むしろ信頼につながる場合があります。
「誰に見てほしいのか」をもう一度考える
リニューアルするとき、
「かっこいいサイトにしたい」
という希望はよくあります。
もちろん、それも大切です。
でも、その前に考えたいのが、
「誰に見てもらうためのサイトなのか」
です。
たとえば、
新規のお客さんなのか。
既存のお客さんなのか。
取引先なのか。
採用候補者なのか。
地域の人なのか。
メディアなのか。
イベント参加者なのか。
商品を買いたい人なのか。
問い合わせをしたい人なのか。
目的によって、必要な情報は変わります。
そして、同じ会社でも複数の人がホームページを見ます。
だから、
「ターゲットは30代女性です」
だけでは足りない場合があります。
「誰が、何を知るために、このページを見るのか」
まで考える。
ここまで考えると、必要なページや情報の優先順位が見えてきます。
「今のホームページで、見た人に何をしてほしいか」
リニューアルでは、これも非常に重要です。
ホームページを見た人に、
何をしてほしいのでしょうか。
問い合わせてほしい。
予約してほしい。
商品を買ってほしい。
店舗に来てほしい。
資料を見てほしい。
イベントに参加してほしい。
SNSを見てほしい。
LINEに登録してほしい。
まず会社や活動を知ってほしい。
どれでも構いません。
ただ、
「とりあえずホームページを見てもらえればいい」
では、サイトの構造を決めにくくなります。
目的が違えば、トップページの構成も、ボタンの置き方も、必要な情報も変わります。
だからリニューアル前に、
「このサイトを見た人に、最終的にどう動いてほしいか」
を決めておく。
これだけでも、制作の方向性はかなり変わります。
SNSがあるなら、SNSとの役割も見直す
リニューアル時には、SNSとの関係も整理します。
今では、
「Instagramを見れば情報がある」
「Facebookで告知している」
「LINEで案内している」
という事業者も多くなりました。
では、ホームページはいらないのでしょうか。
必ずしもそうではありません。
むしろ、それぞれの役割を整理すると使いやすくなります。
SNSは、日々の動きや新しい情報を伝える場所。
ホームページは、事業やサービスを整理して確認できる場所。
ECは、商品を購入する場所。
LINEは、継続的につながる場所。
イベントページは、開催日時や場所などを確認する場所。
それぞれを同じ役割にする必要はありません。
リニューアルのタイミングで、
「何をホームページに置くのか」
「何をSNSに任せるのか」
「どこからどこへ誘導するのか」
を整理すると、情報発信全体がかなりわかりやすくなります。
SEOやAI検索を考えるときも、まず基本から
最近はSEOだけではなく、AI検索やGEOについて考える必要も出てきました。
ただ、ここでも特別なテクニックから始める必要はありません。
会社名。
所在地。
サービス内容。
商品。
代表者。
活動内容。
問い合わせ先。
実績。
活動地域。
こうした基本情報が、正確かつ一貫して整理されていること。
まずはここです。
たとえば、ホームページには「北海道旭川市で活動」と書いてあるのに、別のページでは違う所在地になっている。
サービス名がページごとに違う。
会社名の表記が統一されていない。
活動内容が古い。
こうした状態では、人間が見てもAIが見ても判断しづらくなります。
検索対策というとキーワードをたくさん入れることを考えがちですが、
「この事業は何者なのか」
を明確にすることのほうが先です。
リニューアルは、情報を整理し直す絶好のタイミングでもあります。
リニューアルだからこそ「やめる」ことを決める
新しいホームページを作るときは、
「何を追加するか」
に目が向きます。
でも、本当に大事なのは、
「何をやめるか」
かもしれません。
誰も読んでいないページ。
今は提供していないサービス。
重複している説明。
古いキャンペーン。
更新できないブログ。
意味がなくなったメニュー。
情報量だけ多くて、判断の邪魔になっている文章。
こうしたものを整理します。
ホームページは、情報が多ければ良いわけではありません。
必要な情報が、必要な順番で見つかることのほうが大切です。
だからリニューアルは、
「足し算」
だけではなく、
「引き算」
でもあります。
「全部新しくする」が正解とは限らない
場合によっては、全面リニューアルが必要ないこともあります。
トップページだけ直す。
サービスページだけ整理する。
スマートフォン対応だけ改善する。
問い合わせ導線だけ変える。
古い情報を整理する。
写真を入れ替える。
文章を見直す。
更新方法を変える。
これだけで十分改善するケースもあります。
予算や時間を考えれば、
「必要なところから直す」
という方法も立派なリニューアルです。
大切なのは、サイトを新しくすることではありません。
サイトが今の事業に合っている状態に戻すことです。
リニューアル前に、一度この10個を書き出してみる
もし今、ホームページのリニューアルを考えているなら、制作会社に相談する前に、次のことを書き出してみてください。
1.今のホームページで一番困っていること
2.現在提供しているサービス
3.現在販売している商品
4.今の主なお客さん
5.ホームページを見てほしい人
6.見た人に最終的にしてほしいこと
7.今のサイトで残したい情報
8.なくしてもいい情報
9.新しく追加したい情報
10.公開後、誰が更新するのか
これだけでも、かなり整理できます。
もちろん、全部決めてから制作会社に相談する必要はありません。
むしろ、
「ここがまだ決まっていない」
と伝えることも大切です。
良い制作の相談は、すべて決まったものを渡して作ってもらうだけではありません。
一緒に整理しながら、
「本当に必要なものは何か」
を決めていくことも、Web制作の仕事のひとつだからです。
STUDIO DiWが考える「リニューアル」
STUDIO DiWでは、Webサイトを単なるデザイン物として考えていません。
Webサイトは、
事業の情報を整理し、
必要な人に伝え、
次の行動につなげるための仕組み
だと考えています。
だから、リニューアルの相談を受けたときも、
「どんなデザインにしましょうか?」
から始めるとは限りません。
まず、
「今、何をしているのか」
「何が変わったのか」
「誰に何を伝えたいのか」
「今のサイトで何が問題なのか」
「何を残すのか」
「何をやめるのか」
「公開後、どう運用するのか」
を整理します。
そのうえで、
必要なページを考える。
必要な機能を考える。
必要なデザインを考える。
必要な導線を考える。
必要な運用方法を考える。
順番としては、そのほうが自然だからです。
Webサイトは、見た目だけを新しくしても、事業とのズレが残っていれば、また数年後に同じ問題が起こります。
逆に、
「今の自分たちは何をしているのか」
が整理されていれば、サイトの構成も、文章も、デザインも決めやすくなります。
リニューアルは、ホームページを作り直す作業ではない
Webサイトをリニューアルする。
そう聞くと、古いホームページを壊して、新しいホームページを作るように感じるかもしれません。
でも、本当は少し違います。
リニューアルとは、
「今の事業と、今の情報と、今のホームページのズレを整えること」
なのだと思います。
だから、最初にデザインを決めなくてもいい。
新しい機能を考えなくてもいい。
ページ数を決めなくてもいい。
まずは、
「今のホームページは、今の自分たちをちゃんと伝えられているか?」
を見てみる。
伝えられていないなら、
何がズレているのかを探す。
そして、
残す。
直す。
なくす。
追加する。
つなぎ直す。
その結果として、必要ならデザインも変える。
この順番で考えると、リニューアルは単なる「ホームページの作り直し」ではなくなります。
事業そのものを一度整理する機会になります。
そして、その整理ができているホームページは、公開したあとも育てやすい。
新しいサービスが増えたとき。
商品が変わったとき。
イベントを始めたとき。
SNSを活用するようになったとき。
スタッフが変わったとき。
事業の方向が変わったとき。
その変化に合わせて、ホームページも更新できます。
Webサイトは、一度作って終わるものではありません。
事業が動けば、Webも変わります。
だからこそ、リニューアルで本当に見直したいのは、
「デザインが古くなったかどうか」
だけではありません。
「このホームページは、今の自分たちをちゃんと表しているか。」
まずは、そこから考えてみる。
それが、リニューアルの最初の一歩だと思います。
